2004年2月16日(月)17:59

トルコ首相はEUとの「特権的パートナーシップ」の提案を拒絶

アンカラ(AP)

トルコのレチェプ・タイップ・エルドアン首相は、ドイツのキリスト教民主同盟・社会同盟(CDU/CSU)がEU正式加盟の代わりに提案したEUとの特権的パートナーシップの構想を厳しく拒否した。エルドアン首相は月曜日アンカラで、キリスト教民主同盟のアンゲラ・メルケル党首とのおよそ1時間にわたる会談を終え、そのような提案はコペンハーゲン加盟基準とはまったく無関係であり、これまで議論にのぼったこともない、「それゆえ私たちがこれについて議論することもない」と語った。

「トルコが政争の道具に利用されるのは好ましくない」。トルコは今年中に加盟基準を達成すべくあらゆる努力を行う意向だ。トルコはEUに新たな荷物を背負わせるのではなく、EUに力を貸すのだ。また、トルコがEUに加盟すれば、EUが「キリスト教クラブ」ではなく、同じ政治的価値に基づく国家の連合体であることが証明されることになる。この点をメルケル党首には良く考えていただきたい、とエルドアン首相は語った。

メルケル党首も、キリスト教民主同盟(CDU)がEUを「キリスト教クラブ」と考えていないことを確言した上で、キリスト教民主同盟と社会同盟はトルコに対しヨーロッパの扉を閉ざそうとするものではないと、特権的パートナーシップの提案を説明した。これはまた、トルコが「著しい進展」を見せているコペンハーゲン基準達成の問題ではない。むしろEUの現状から、キリスト教民主同盟・社会同盟はトルコの加盟展望を批判的に考えざるを得ないのだ、と主張した。

両者の主張の食い違いにもかかわらず、メルケル党首と同党の外交政策担当のヴォルフガング・ショイブレ副議員団長はアンカラで国賓級の待遇を受けた。エルドアン首相との二度の会談をはじめ、アブドラ・ギュル外相、アブデュルカディル・アクス内相、ビュレント・アリンジ国会議長、およびエルドアン首相の与党正義進歩党(AKP)の全指導部とも会見した。

メルケル党首のトルコ訪問の一週間後にはゲルハルト・シュレーダー首相の訪問が予定されている。キリスト教民主同盟・社会同盟とは対照的に、シュレーダー首相はEU各国首脳が12月の首脳会議でトルコとの加盟交渉開始を決定することに賛成している。

今回のメルケル党首のトルコ訪問と、欧州議会選挙をトルコのEU加盟を問う国民投票にするとのキリスト教社会同盟(CSU)の新たな発表を受けて、ドイツ国内ではこの問題についての議論が再燃した。ドイツ政府のクラウディア・ロート人権問題担当委員は、メルケル党首は特権的パートナーシップとの提案でトルコを「二級に格下げした」と非難した。しかし一方で、自由民主党(FDP)のギド・ヴェスターヴェレ党首も、トルコの早期加盟には反対の意向を表明している。

ドイツ政府は、加盟交渉の開始は欧州委員会の報告に基づいて今年末に決定されるとあらためて述べた。ベーラ・アンダ政府広報官は、社会民主党と緑の党の連立政府はトルコの国内改革を支持する。これは1993年のいわゆるコペンハーゲン基準の達成につながるであろう、と強調した。

トルコのメフメット・アリ・イルテムジェリク駐独大使はドイツの政治家とメディアに対して、40年間のトルコとEUの関係を「偏見や非友好的意図を持たずに」正当に評価するよう求めた。とりわけ大使は、欧州議会選挙で「トルコやトルコ人の問題を論争やプロパガンダに」利用しないよう戒めた。

原題:Erdogan erteilt ≪privilegierter Partnerschaft≫ mit EU schroffe Absage




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